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2007年5月号

レディーミクストコンクリートの品質管理について
(単位水量検査の意義と測定技術の現状)

独立行政法人土木研究所つくば中央研究所技術推進本部
構造物マネジメント技術チーム 主任研究員

片平 博

1.はじめに
 レディーミクストコンクリート(以下、生コンと称す)の現場受入れ検査としては従来からスランプ、空気量、塩分量および圧縮強度試験が行われてきましたが、平成15年10月の国交省通知「レディーミクストコンクリートの品質確保について」、翌16年3月の「レディーミクストコンクリート単位水量測定要領」により、単位水量の測定が義務付けられました。
 3年が経過した現在、単位水量測定も現場に浸透してきましたが、未だに「どの手法が適しているのか分からない」といった疑問の声や、単位水量の測定結果から水セメント比まで逆算して検査するなど、行き過ぎた検査行為も見られるようです。
 そこで、単位水量検査の意義について整理するとともに、実測結果を踏まえて各種単位水量測定方法の適用性について考察します。

2.国土交通省通知の概要
 国土交通省から出された単位水量測定に関する通知および測定要領の概要は以下のとおりです。

  1. 1日の生コン打設量が100㎥を超える工事で単位水量を測定する。
  2. 測定方法はエアメータ法かそれと同等以上の精度を有する方法とし、特に限定しない。
  3. 測定単位水量が設計配合±15kg/㎥以下の場合はそのまま施工して良い。
  4. 測定単位水量が設計配合±15kg/㎥を超え±20kg/㎥の範囲にある場合は生コンは打設し、水量変動の原因を調査、改善を指示。
  5. 測定単位水量が設計配合±20kg/㎥を超えた場合は打設しない。

3.合否判定基準の考え方
 上記のとおり±15kg/㎥、±20kg/㎥が合否の判定基準となります。この値は単位水量の測定精度と生コン製造上の単位水量の変動幅の双方を考慮して定められたものです。
 現状の単位水量測定技術には後述するように多くの誤差要因が存在します。そこで、測定手法に関わる誤差を±10kg/㎥まで許容しています。
 一方で、現在の生コン製造システムでは骨材の粒度分布等がある程度の幅で変動することは避けられず、これによってフレッシュコンクリートのコンシステンシーも変化します。このため、単位水量をある程度調整しないと性状が安定しないという意見もあり、生コン工場での単位水量の変動幅を±10kg/㎥まで許容しています。
 2つの誤差の累積誤差Saは、

(1)

 となり、これを丸めた ±15kg/㎥までを合格とし、さらに2つの誤差の最大値の合計値を超える場合は明らかに水量が大幅に違っているので ±20kg/㎥を超えた場合は持ち帰りとなっています。

4.単位水量上限やW/Cは配合表で判定
 今回通知された検査基準は、明らかに不良なコンクリートのみを排除するための基準です。±15kg/㎥以下で合格となった場合には配合報告書を信頼するということです。
 国交省では生コンの配合上の制限として、単位水量は土木で175kg/㎥以下、建築で185kg/㎥以下、水セメント比は無筋構造で60%以下、鉄筋構造で55%以下と制限していますが、これらの制限に対する合否判定は配合報告書の数値で行うべきであり、単位水量検査で得られた推定単位水量の値をもとに合否判定を行ってはいけません。

5.単位水量測定法の種類と原理
 現在、実施するとこが可能な単位水量測定法には表1に示すような方法があります。各手法の原理と特徴を以下に紹介します。

表1 単位水量測定法の種類

①加熱乾燥法
試料を加熱乾燥し、蒸発した水分量から単位水量を推定します。電子レンジ法は関西で、減圧加熱乾燥法は北陸で実績があります。

②単位容積質量法
水は骨材やセメントに比較して密度が小さいので、生コン中の水量が変化すると生コンの単位容積質量も変化します。この原理を利用して単位水量を推定します。エアメータ法には高性能な機器を使用して注水法で行う方法と、一般のエアメータを用いて無注水法で行う方法(土研法)があり、後者は簡便かつ迅速であるため、近年、実績が増えています。水中質量法は精度を上げるために測定がやや煩雑となりますが、建築の比較的高強度のコンクリートで実績をあげています。

③濃度法
コンクリートに試薬を混入するとコンクリート中の水分量によって試薬の濃度が変化するので、その濃度から単位水量を推定します。濾過などの煩雑な作業を伴います。

④特殊な物理量を測定する方法
水分量に応じて変化する物理量を測定します。計測は簡単、迅速ですが、間接的な測定なため、測定物理量から単位水量を求めるための検量線(換算式)が必要となります。

6.単位水量測定に関わる誤差要因
 表21)に示すように単位水量の測定には様々な誤差要因が存在し、測定手法によってその影響度合いは異なります。主要な誤差要因は以下のようなものです。

①サンプリングに関わる誤差
 コンクリートを試料とする試験法では、試料中の粗骨材量のバラツキに起因して推定単位水量に誤差が生じます。生コン車から排出される生コン中の粗骨材量は一定ではありません。特に排出初期は粗骨材が多く含まれるため注意が必要です。また、試験に用いる試料量が少ない試験法だと粗骨材量のバラツキの影響を強く受けます。
 モルタルを試料とする試験法では粗骨材量のバラツキの影響は受けないので測定データは安定しています。しかし、ウェットスクリーニングの際にペーストが粗骨材表面に付着して残る分、採取されるモルタルは細骨材の多い配合となります。このため、推定単位水量は5〜25kg/㎥低めにでます。

②材料物性に関わる誤差
 材料の密度や吸水率、粗骨材の過小粒、細骨材の過大粒などの変動に起因して誤差が生じます。特に単位容積質量法では、骨材密度の変動の影響を強く受けるために、骨材の密度を正確に把握する必要があります。

③測定機器・プロセスに関わる誤差
 測定手法ごとに様々な誤差要因が存在します。最も重要な因子として検量線の誤差があります。特殊な物理量を測定する試験法では、検量線の設定しだいで推定単位水量は如何様にも変化しますので、検量線の的確性を如何に評価・証明するかが課題となります。

表2 単位水量測定法と各種誤差要因との関係
※クリックすると拡大します

7.実際の測定結果
 上述のように、測定手法ごとに様々な誤差要因を伴うことから、それぞれに対して細心の注意を払った測定を行うことが重要です。
 図1は、平成16年度に国交省で実施された単位水量測定結果を測定手法別に整理したものですが、測定手法による結果のバラツキに有意な差は認められませんでした。

8.測定法選定上の留意点
 単位水量測定法を検査に用いる場合に配慮する事項としては主に精度、透明性、合理性があげられます。

①精度:様々な誤差要因がありますが、現在普及している測定法に関しては図1に示すように有意な差は見られず、国交省の検査基準に十分に適応可能と考えられます。

②透明性:生コン側、施工者側、官側の三者が納得した測定法を用いる必要があり、モルタルを試料とする試験法や検量線を用いる試験法の場合には、その補正や検量線の妥当性を客観的に証明する必要があります。

③合理性:良質な生コンを打設するための検査ですので、生コン車を長時間待機させるような試験法は極力避けなければなりません。また、現場での作業を考えると、できるだけ簡素な試験が望ましいと言えます。
 これらのことを総合的に勘案して、土木研究所では最も簡便・迅速なエアメータ法
http://www.pwri.go.jp/jpn/tech_inf/tani-suiryou/tani-suiryou.htm参照)を推奨しています。エアメータは生コン関係者が使い慣れている機器でもあり、日々の製造管理にも手軽に適応できます。そうすることで品質管理に対する関心が高まり、生コンの品質が向上していくことが、最も望ましい姿と考えています。

※クリックすると拡大します
図1 国土交通省で実施された単位水量検査結果(平成16年実施分)

参考文献
1)フレッシュコンクリートの単位水量迅速測定および管理システム調査報告書、(社)日本コンクリート工学協会、2004.6



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