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地下鉄工事における既設地下鉄の
アンダーピニングの設計と施工管理

東京土木施工管理技士会
西 谷 和 宏 ※

1.はじめに
 本工事は春日通り地下に新設する地下鉄工事で、駅構築延長が390mと長い為、昭和通り・JR山手線・JR新幹線・中央通りを横断することになる。また、この地域はアメ横・湯島があり都心でも超繁華街で、昼は買い物客が多く、夜は泥酔人が多いので、第三者災害に十分配慮した施工が要求された。その中で中央通り地下にある、銀座線上野広小路駅(既設)の直下を交差する為(丸円部)、アンダーピニングを行なう必要があった。

図− 1 上野広小路駅部 平面図・断面図



2.工事概要
工事数量
H形鋼矢板圧入   7,064m2
路面覆工      5,167m2
掘  削     92,731m2
山留支保工     2,923t
鉄筋コンクリート 22,851m2

 地下鉄12号線上野広小路駅は、延長460m幅12〜19m、地下3層深さ18.5mの駅である。銀座線の下、東北新幹線の上を通過する構造である為、開削工法になった。
 さらに、銀座線と地下鉄12号線は図−2のように交差するためアンダーピニングをする必要が生じた。

図− 2 断 面 図



3.技術的な問題点
 銀座線をアンダーピニングするにあたって一番考慮しなければいけないことは、営業線であるため走行に支障になる変位(±5mm/10m、営団軌道設備基準)は与えられないことである。
 しかし、銀座線は70年以上も前の構造物であり、かなり老朽化している。さらに框構造という特殊構造(図−3)のため、配筋が極めて少なく縦断方向の連結性が非常に弱い。

図− 3 框 構 造


 さらに、アンダーピニングの構築幅が26mと広く、しかも線路部とコンコース部には1.5mの段差がある。

4.解 決 策
 当現場は現設計が無いため、現地を照査し設計施工で行なった。
 アンダーピニングの工法としては、杭直受工法、下受桁工法、パイプルーフ工法等があるが、ここでは、銀座線が老朽化していることから、構造物に影響の少ないこと、受替完了後も調整可能なこと及び工期の短縮が可能なことにより下受桁工法を採用した。

図− 4 平 面 図


 支持杭については、銀座線の両側に受杭を打設した。また、銀座線下床と12号線上床の離隔が2.1mと狭いため、受桁の桁高を抑えるため、また、コンコース部と線路部の段差1.5mを解消するため貫通杭を採用した(図−5)。

図− 5 断 面 図


 各杭とも、銀座線構造物の荷重で沈下しないよう、杭底のスライム処理が確実であること、また支持層が東京礫層であり、地下水位の高い砂礫でも削孔が可能であることにより、リバース杭(TBH工法)を採用した。
 さらに、銀座線構造物が弱いことから、以下の対策を講じた。

(1)銀座線本体を鋼材で補強した。
(2)受桁のピッチを1mと密なものにした。
(3)覆工荷重が直接構造物に作用しないよう、受桁に受け渡すようにした。
(4)特殊ジャッキを採用した。
特殊ジャッキとは、仮受桁の撓みにより変化するジャッキ設置部の平行度を考慮し、頭部に自在球座を内蔵し、構造物受替え完了後も調整可能な油圧機能とナット構造を持ち合わせたものである。
(5)プレロード荷重は銀座線構造物の死荷重と交通荷重の合計とした。
(6)プレロード方法は、プレロード荷重を20%毎に別けて載荷し、各載荷段階で、下受桁の相対変位の進行が15分間で0.03mm(0.03mmは地盤工学会「杭の鉛直載荷試験基準・同解説」 の杭の沈下安定基準による)であり、銀座線に異常がないか確認後、次の載荷を開始する。 設計段階では、駅部が非常に老朽化していると考えられ、構築の安全性から構築には極力変位を与えないように、プレロード荷重はプレロード対象荷重の100%を採用した。

表− 1


 しかし、下受桁5本目のプレロード時、銀座線が隆起方向(0.02mm)を示した。
 以前の施工過程において、掘削によるリバウンド及び導坑掘削のための薬液注入を行なった際、4mm/10mの隆起があった。その影響により隆起方向に推移したものと判断し、その隆起を抑える目的とし、各載荷段階での構造物の変位の計測結果を詳細に検討し、帝都高速度交通営団とも協議をし、プレロード目標荷重をプレロード荷重の80%に変更した。
 その結果、アンダーピニングの施工前後で±2mmの沈下が認められたが、全施工期間中、管理範囲以内で完了することが出来た。

5.おわりに
 営業している地下鉄構造物をアンダーピーニングすることは、細心の注意が必要であります。各載荷段階での変位を計測し、プレロード荷重を検討することで、老朽化した銀座線を安定した状態でアンダーピニングすることが出来た。また、下受桁工法、特殊ジャッキの採用で、受替え完了後も調整可能であったことにより、安定性が高く確実な施工をすることが出来た。
 今後、各載荷段階での変位データを整理分析することで、アンダーピニングの標準化をさせていきたい。

※ 戸田建設株式会社


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一般社団法人 全国土木施工管理技士会連合会