土 木 施 工 管 理 技 士 に 寄 せ て
国土交通省大臣官房技術調査課建設コスト管理企画室長 松 本 直 也
「イメージアップ経費」が積算に計上されるようになったのは平成4年度からであり、ちょうど10年が経過しました。この間、一般の人々が建設、土木について持つイメージがどれほど改善されたか、はなはだ疑問です。マスコミ等を通じてひろく流布している一般的なイメージはむしろ悪化していると言わざるを得ません。公共事業を巡って次々と発生する不祥事などその原因を挙げることは容易です。これらのマイナス要因が全体のイメージを作りあげていることに対して真面目に仕事に励んでいる多くの技術者仲間は不本意な思いをしています。しかし、このような状況であるからこそ、マイナスイメージを払拭するための一層の努力や工夫が私たちに求められています。
土木の世界のイメージを改善するためにやるべきことは多くあります。近年の食品業界などのように「信頼を築くには長い時間がかかるがそれを失うのは一瞬である」と言われるとおり、不祥事や事故を起こさないことが求められるのは当然ですが、基本は地道にいい仕事をし、そのことを知ってもらうことで信頼を築いていくことです。多くの人たちのイメージがマスコミなどによる虚像によって形成されているとすれば、私たちの本当の姿(実像)を知ってもらうことが最も有効で最も正当な方法です。その意味で工事現場こそがイメージ回復、向上に最も有効な場であると言えます。
工事現場では安全のために一般の人が入らないように措置され、仮囲いによって見ることもできないのが普通です。しかし、これではイメージアップの観点からは折角の機会を自ら逃しているようなものとも言えます。最近では工事看板も工夫され、無味乾燥なものではなく、工事の目的や内容、完成後の姿などを伝えようとしているものが各所で見られるようになってきています。現場を知らせるという点で看板は基本であり、より目につきやすく、わかり易くする工夫が求められます。
さらに、一般の人々に現場をじかに見てもらうということが、イメージアップの点では一層の効果が期待できます。見学会の開催や見学者用のコース設置など工事の内容、規模にもよりますが積極的な取り組みを期待したいものです。私は平成4年から平成7年まで工事事務所長でしたが、イメージアップ経費を現場の美化等に使うのではなく、現場周辺の住民に参加してもらえるようなイベントに使ってくださいとお願いしました。その結果、受注業者の皆さんがそれぞれ考えて「記念植樹」、「近所の幼稚園児の建設機械試乗会」、「完成した水路を使った魚のつかみ取り大会」、「管理中用地での農園づくり」等々が開催され、工事関係者と住民のふれあいの機会となりました。事業や工事のPRも併せ行われました。イベントが必ずしもベストとは思いませんがヒントのひとつにしていただければ幸いです。
技士会の皆さんがそれぞれの担当現場で最もイメージアップに有効な方法は何かを考え、実践することを期待しています。